『一画減ってもまだ漢字』は、画数から漢字を見直すための図版中心の小冊子です。
取り上げているのは「一画取り去っても、漢字として成り立つ文字」のみです。そうした文字を157字選び出し、それぞれの関係をネットワークグラフとして整理しました。
例えば「斥」から一画を取り除くと「斤」、「大」に一画加えると「犬」や「太」になるといった具合に、ある漢字が別の漢字に変化する過程が、図として描かれています。この関係性はすべてUnicodeに収録された漢字で構成されています。
誌面では、これらの文字の関係が矢印でつながれ、ひとつの大きなネットワークとして展開されます。ページいっぱいに広がるグラフは、学術的な資料というよりも、構造を楽しむためのビジュアルです。文字の形のつながりを、言葉や意味を抜きにして眺めることで、日頃見慣れた漢字が少し違って見えてきます。

全12ページ、本文8ページで図が中心のコピー本です。
分量は控えめながら見て楽しめる内容が詰まっています。
文字そのものに興味がある人はもちろん、図や構造に魅力を感じる人にもおすすめできます。内容に専門的な用語や難解な説明は含まれていませんので、誰でも視覚的に楽しむことができるでしょう。

本書は、文字の意味や歴史ではなく、形と構造そのものに焦点を当てています。一画の変化がもたらす形の関係を、あらためて見直すきっかけになるかもしれません。