神主の作品には、幻想郷や科学世紀の世界をはじめとした作品世界を貫く概念や考え方が存在し、作中の事象の多くは、その概念によって説明することが出来ると考えます。
本書では、その概念の一つとして、『東方香霖堂』のエピソード「奇跡の蝉」において素数ゼミの形で言及された都度行われる生まれ変わりの概念について紹介します。

本編では、まず『東方香霖堂』において提示された「素数ゼミ」と「生まれ変わり」の概念について説明します。
ここでいう「生まれ変わり」とは「昼」の世界の物事が侘び寂びて滅び、その要素が「夜」の世界に還元され、そして混沌である夜の中から「昼」へ物事が生まれる事象を指します。
次に、一例として、東方の諸作品に登場する「夜」に物事を還元する行為と夜の中から「昼」へ物事を表す行為について紹介します。
続いて、これらの事象について哲学・工学の観点から紹介している書籍『神はカオスに宿りたもう』を紹介します。
続いて、先の書籍の内容が神主に伝わるまでの経緯、縁について説明します。
最後に、「生まれ変わり」の概念に関わりのある神主の言葉を紹介し、東方がシリーズとされないことについて説明します。
また、「生まれ変わり」の概念と「昼」と「夜」の概念が更に他の概念と繋がっていることを示します。