平凡な◯校生の「僕」の最近の楽しみは、放課後の空き教室の片隅で、同級生の下條さんと本の貸し借りをすることだ。無口で大人しくて決して目立つ方じゃない、だけどたまにドキッとすることを言う、そんなちょっとミステリアスな女の子。そんな下條さんのことが、僕はずっと気になっていたけれど、この心地よい関係が崩れるのが怖くて告白もできずにいた。
　この幸せな時間がずっと続けばいいのにと、僕はそう願っていた……