【小説】明星ヒマリは恋をした

先生×ヒマリの純愛小説です。

明星ヒマリは恋をした。
いや、この表現も実のところ正しいとは言えないだろう。
より正確に表現するなら『恋をしているという事実を、正しく把握した』 ── そう形容する方がよいだろう。
感情さえ心の奥底に隠してしまう悲劇の美少女。表面上は普段通りにふるまう彼女だが、次第にその激情を内に秘めることができなくなっていく。
肉体と精神の狭間にある可燃性の高い部分。一度そこに火がついてしまえば、それが燎原の如く広がって手が付けられないほどに燃え盛るのだった。
自身の病弱な身体に対する負い目と、抑えきれない感情の境でもがき、苦しむ彼女。そしていつしか彼の前ではただの少女として──天才でも、完璧でもない、ただの『明星ヒマリ』として愛してほしいと──そう思うようになっていた。

これは、そんな一人の少女が恋をするだけの物語。